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都内某所へ [オーディオ]

ここは、都内某所にあるリビング兼オーディオルーム。
都内の一等地にあり、東京の夜景を満喫できる。
今、正面のベランダ越しに都内の夜景を眺めながら、
20畳以上はあろうかという部屋に鎮座するwestern electricの大きなスピーカーで,古いジャズを聴いている。
部屋の右側には、これまでみたことのないwestern electricのビンテージアンプが、
2mほどの高さのラックに収められている。
この大きな2mのラックが2つ並んで鎮座する。
圧倒され型番を聴くのを忘れてしまったが、41A,42A,49Aのフルセットがラックに収められている感じである。
その片方のラックには、Mark Levinsonの名機LNPがマウントされている。
恐ろしいのは、このLNPが小さく見えることだ。
そして、今日のメインはLNPではなく、western electricのプリとパワー。
いずれもラックマウント型で、サイズはLNPと同じ幅がある。
当時はこのラックのサイズで規格化させており、メーカーが異なっても、
マウントできるそうである。
プリ、パワー、ラックに至るまで黒で統一された筐体は、
古い良きアメリカの映画館で活躍していたことを想像させる出立ちである。
また、その黒い大きな筐体には、大きなダイヤルや文字版が白く輝くメーターは、
蒸気機関車をも彷彿させる。
プリもパワーも高さはそれぞれ40cmぼどあるだろうか。
これがLR2ch分の計四つが縦にマウントされている。
その出立には力強さと迫力があり、これらを眺めていると、
これから始まる長旅への期待に胸が膨らむ思いがした。

なんとwesternのアンプは、1928年製との事。
勿論民生用に作られたものではなく、当時は映画館とかで使われていた物なので、
一般家庭に入れることには限界がある。
まして、この筐体を入手するは、ほぼ不可能に近い。
売っているお店も殆どなく、もし見つけたとしても売ってくれることはまずない。
故に、マニアからマニアへ、そしてさらにその先にいるマニアへと、マニアを辿り伝いやっと見つけられるマニア垂涎の逸品なのである。勿論経済力も必要である。
それにメンテナンスできるところも殆どないため、メンテナンスできるバックボーンがあるかなど、この辺りのベースをしっかりと確立してからでないと手を出せる世界ではないのである。
もうじき100年を迎えるであろうという超年季の入ったこれらの機器から、
いったい、どんな音が出てくるのだろうか?

名前も場所も写真も非公開とのことなので、
掲載できないのが誠に残念ではあるが、
今ここで、こうして古き良き時代のジャズをしかもすべてオリジナル盤で聴かせて頂けていることに、
心から感謝したい。

以降、仮にAさんとさせて頂くが、Aさんは、GarrardとEMTの2台をお使いである。
それぞれにアームが4本づつ付いている。
STEREOとMONOをお聴きになることは勿論だが、レーベルによって盤の厚みが違うことや、
盤の材質の違いによる音の違いに対応できるようにされているようだ。
とは仰っても、リファレンスにされているカートリッジは、ortofonの古いMONOカートリッジ。
エッグシェルタイプの改良版のようだ。
これまた、どこでどうやって入手できるのかも分からない。
アームは全てortofonのビンテージ品でアルマイト仕様のものだそうである。
アルマイト仕様で作られていたのか!
こういうところから、当時長く愛される製品として作られていた事が伺えるね。

さあ、いよいよ本格的な音出しである。
westernのプリの大きなダイヤル式のボリュームが回される。
LRあるので、左右のそれぞれのダイヤルが適切な音量に調整された。

Garrard301のテーブルにMiles DavisのRound About Midnightのレコードが載せられ、針が落とされた。
そして、マイルスのペットの音が出てきた。

良く調整された音である。それは一聴してすぐに分かった。
ミュートのディティールが良く分かる。各楽器の音の分離が良く明瞭で見通しが良く、
盤に刻まれているであろう場の雰囲気が、これでもかと言わんばかりに引き出されてくる。
Aさんは、今日はピアノ音がイマイチと仰ったが、この時小生にはそれは分からなかった。

続け様にKenny BurrellのMidnight Blueを掛けて頂く。
Westernのホーンから出てきたその音は、トランペットに続き、特にテナーのなりっぷりは流石だ!
拙宅のスピーカーではこうはならない。

更に小生の好きなKenny DorhamのAfro Curanなどを掛けて頂いた。
特質すべきは、2管、3管となっても、各管楽器の音、更にはリズムセクションの音まで、明瞭に聴き分けられることだろう。
ウエスタンは、当時の映画館で活躍した。
ストラディバリウスといった名器がコンサートホールでより遠くのお客さんに明瞭に音が届くように作られたように、ウエスタンは映画館の後ろの客席の人にもより明瞭にセリフや音楽を届けることを目指して作られたようである。
DorhamやMobleyが吹いているときも、リズムセクションの演奏が手に取るように分かる。
決して各楽器の音が他の楽器の音に埋もれない。
これこそがウエスタンの真骨頂なのかもしれない。

また、これらのディティールが出ている理由の一つにGarrard301とアームとカートリッジがあるだろう。これらの古い機材から、どうしてあのような綿密な情報が引き出されてくるのか不思議でならない。ビンテージの価値は、長年マニアによる評価によって確立されてきたものだと思うが、やはり良いものは使い続けられるのだなあと。そしてその理由は、この出てくる音になるのだなあと思った。

続いて小生の好きなBASH!を掛けて頂いた。
個人的に、OsmosisでのTOMMY FLANAGANのバッキングによりKenny DorhamやFrank Haynesが段々と乗ってくる様がたまらないのだが。
ここで、冒頭でAさんの仰っていたピアノの音がイマイチということの意味が少し分かったような気がした。
冒頭のMilesの盤は、元々ピアノの音が小さいためあまり良く分からなかったが、OsmosisではFlanaganのピアノの音がしっかり入っている。このバッキングが命なのだけれど、二人の管楽器の音に負けてしまっているようだった。
Aさんは、普段から音が薄いと仰っているのだけれど、この薄いと仰っていることやピアノの音がイマイチと仰っているのの原因は同じなのかなと思った。
個人的には、スピーカーのセッティングとユニットの位相を更に合わせることで、自然と音の厚みが出て結果ピアノの音もしっかりしているのかなあと思った次第。
まあ、ウエスタンを使っているわけではないので、大口は叩けないが。

それから、Aさんの大きなリビングの右側の壁は、端から端までオリジナル盤が並んでいる。
ここでは、小生の持っている盤の殆どをオリジナルで聴くことができる。
その後もBLUE NOTEやPRESTIGEのオリジナルを沢山聴かせて頂いた。
やはり同じJAZZ好きと言っても、掛けて頂いた盤は小生が普段掛ける盤とな多少異なり、とても刺激になった。

それから、以前ヤフオクでサキコロのFLAT盤とGG盤の音が同じと書かれていた件について話していて、ここで聴き比べさせて頂くことになった。
Aさんは、サキコロのオリジナル盤のFLATとGGとセカンドプレスをお持ちでる。
セカンドプレスもかなり良い音がしたが、更にGGとFLATを聴き比べることに。
すると、拙宅でも感じたようにFLAT盤のほうが野性味を感じた。
多少野暮ったいような、やはり明確に音は違う!
お互いにかなり音は違うね。という結論となった。

その後も沢山掛けて頂き、最後は小生の持っていない
Speak LowのJAZZTIME盤に、J.R. MonteroseのIn Actionで締めくくられた。
いやあ、どちらも痺れた。

こうして長い時間、ビンテージの機材で古いJAZZを聴かせて頂き、Aさんの古き良き時代への深い愛情を感じた。
我々は、古き良き時代に何か置き去りにしてきたものや、時の流れとともに何か忘れてしまってるものがあるのかなと感じた。

Aさん長い時間、沢山聴かせて頂き、ありがとうございました。
是非また遊んで下さい。

というわけで、10月はオフ会の連続であった。
taoさん、チューバホーンさん、GRFさん、Aさんと。
最新の光カートリッジにリニアトラッキングアーム、ディスクリートDAC、ZYXのフラッグシップのカートリッジ、Ortofonのエッグシェルと。
送り出しだけでも、ユーザによりこれだけ違う。
しかも、どれも物凄く良い音を聴かせて頂くというなんとも幸せな一か月であった。
さて、自分はこれらを俯瞰して今後どういう路線でいこうか。

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